クァルテット・ポッポ広報担当です😀
いよいよ今月に迫ってきた豊平館コンサート。今年の演奏曲目メインのメンデルスゾーンとラヴェルについて少し書いてみます。
「曲について語る」ということを、私はこれまでの自主企画コンサートで数多くしてきました。
曲の背景や場面をイメージしながら聴くことで、その曲の魅力的な部分に気付いたり、飽きずに楽しむ手がかりになると思っていたからです。
でも、最近はすこし考え方が変わってきました。
音楽の聴き方は人それぞれで、私が考える曲のイメージがすべての人に当てはまるとは限らない。
音楽を聴く目的も、人によって違うはずなのです。曲の素晴らしさは、もうすでにその曲が語っているはず。それを、演奏で伝えるのが本来の演奏家の仕事です。
だから、今回はわたし個人の曲に対する気持ちを書こうと思います。
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲は、私が学生の頃から憧れていた曲です。
今回演奏する第1番は、メンデルスゾーンが二十歳のときに作曲されました。
みずみずしく爽やかでときに激しく、ロマン派への橋渡しとしても重要な作品です。
まさに、この曲に対する私の気持ちは「学生の頃からひそかに憧れていたお兄さんと初めて話すことができてドキドキ」という感じです(20歳くらいの想定)。
楽譜を読むと、演奏する人はその曲を作曲した当時の作曲家と出会うことができます。たとえ、私が同じ時代に生きていたとしてもメンデルスゾーンに出会うことはなかったと思いますが、楽譜のなかでは出会えるのです。
ベートーヴェンの楽譜からは、しつこくて身体の中から沸き起こる自我のようなものを感じるし、モーツァルトの楽譜からは、人間性をまるで感じない、天性だけがあって本心がわからないような「人柄を想像できない」感覚があります。
それと同じく、メンデルスゾーンの楽譜から感じる「心の優しさ」「繊細な感情」のようなものに、私は恋心を理解し始めたころから(それがいつ頃なのかはひみつ)、とても惹かれるようになりました。
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第一番の最大の魅力は、「若々しさ」と「曲の構成の繊細さ」だと思っています。初めてこの曲を聴いたときのような気持ちを味わいながら舞台で演奏できたら最高ですね。
少し長くなりましたので、ラヴェルのお話は次回に。
ここまで読んでいただきありがとうございます。