今年で3回目をむかえた、クァルテット・ポッポ春の豊平館コンサートが終了いたしました。
速筆で知られるモーツァルトが2年間かけてじっくりと書いた作品集、『ハイドン・セット』の中から唯一短調で書かれたK.421 ニ短調と、弦楽四重奏曲のなかで最もポピュラーでロマンティックなボロディンの弦楽四重奏曲第2番。有名な第3楽章の『夜想曲』は、ボロディンが妻に愛を告白した20周年を記念して書かれたのだそうです。
どちらの曲もシンプルで古典的な曲の作りをしているので、この2曲を演奏するにはカルテットの熟練度が求められます。とくにボロディンへの挑戦は、カルテットとしての素質を確かめるようなものでした。ファーストヴァイオリンとチェロの活躍が目立つ曲ではありますが、内声のセカンドヴァイオリンとヴィオラの役割を全員が理解して絶妙なバランスで聴かせるには「技」と「感受性」が必要。そして、個人的には『夜想曲』のメロディをここちよく、ロマンティックに、少し恥じながら、ちょっと悲しく、美しく、演奏するのが難しかったです。
コンサートの出来については色々と思うことがありますが、このように同じメンバーで何度も本番やリハーサルを重ね、その結果を年に1度みなさまに聴いていただくことは私たちにとってとても意義のあることです。聴きにきてくださったお客様方、公演の運営を手伝ってくれたスタッフのおかげです。そして今回は、この公演にあたって個人的に援助してくださった方もいました。ありがとうございました。
私は生後3ヶ月の娘を抱えてのリハーサルと練習、仕事復帰など心配もありましたが、家族のサポートとメンバーの協力のお陰でなんとか終えることができました。
札幌で演奏活動を始めてから色々なことがあり、考えこんだり悩んだりすることもありましたが、いつでも私は自分が信じた音楽を信じた仲間と続けてきました。そのことがとてもありがたいです。いつも必ず、良い出会いが私を前向きにしてくれています。