土地が育む音楽

奥井ギャラリーでのコンサートが明後日に迫りました。恒例ですが、その時一番練習している曲がリフレインして目覚める数日間。メインのグリーグのチェロソナタは、頻繁に演奏されることはありませんがグリーグ作品の中でも隠れた名曲です。この曲に浸っている時は、以前一度だけ友人を訪ねて行った時のノルウェーの澄んだ空気や、フィヨルドをクルーズした時の自然の壮大さに感動したことを追体験します。小さい頃、朝外に出た時の香りを鮮明に覚えていて、大人になってその香りを感じた時に当時のことが鮮明に蘇るといった体験と少し似ている。グリーグの音楽にはそんな自然を体感できるようなスケール感があります。作曲家や演奏家が幼少時から青年期にかけてどのような環境で過ごしたか、その当時の記憶は確実にその人の音楽となって現れている。

この曲はピアノが大変に活躍します。チェロは、その流れに身を委ねるだけです。チェロの一番良い音域で、一番得意とするメロディを朗々と歌わせてくれる。共演の赤松林太郎さんがかつて中村紘子さんに言われた「ピアノを極めるのではなく、まずフォルテを極めなさい」という言葉は私の中でも次第に生きてきています。音量が大きいだけのピアニストは沢山いますが、これほどまでに美しく分厚く圧倒的なフォルテを出すピアニストを私は知りませんでした。この方の前では、「すみませんが、チェロが聞こえなくなるので少し落としていただけますか」なんて言えない。自分も同じだけのエネルギーを持ってこの曲に挑まなくてはならないという気にさせられます。この先に、私の求める音楽があると確信しています。

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