清々しい天才に出逢う

今年初の演奏のお仕事で、メンデルスゾーンの交響曲を勉強しました。メンデルスゾーンの作品は私がもう少し若かった頃の方が共感できていたかもしれない。歴代の作曲家としては珍しく、富豪の名家に生まれ短い生涯だったけれども経済的苦労を一切しなかったといわれている。生涯苦労知らずだったからなのか、メンデルスゾーンの作品には深みがないと言われたりもする。私もいまいちメンデルスゾーンの作品の趣を理解できないでいた。けれども、彼の交響曲をよくよく聴いてみると、なんとも清々しい才能に溢れているのを目の当たりにする。交響曲第4番『イタリア』の第一楽章は大学に入りたての学園祭で弾いて以来、そのはじけるような躍動感だけが印象に残っていた。今回演奏してみて、その躍動に満ちた八分音符が第一楽章のほぼ全てに渡って途切れなく続いていることに気付いた。蒸気機関車が行き先を目指して走り続けるように。特にコーダ部分からヴァイオリンが70小節にも渡って留まるところを知らず八分音符で駆け抜けるのはまるでメンデルスゾーン本人の溢れ出る才能を象徴している様だと感じるのは私だけでしょうか。同時代の作曲家たちが望んでも越えられなかった壁を易安と越えてみせる音楽。溢れる才能に任せ、何の迷いも感じさせない音楽。それがメンデルスゾーン。真の才能とは、他を寄せ付けない清々しさを持ったものなのかもしれない。

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